BCPの基礎知識と策定方法
公開日:2024年1月15日
テロや大規模災害など、これまでどこか他人事のように感じていた緊急事態は、私たちにとって非常に身近なものになってきています。
こうした状況の中で、企業で注目されるのはBCPです。
BCPとはどのようなもので、どう策定していけば良いのでしょうか?
BCPの基礎知識を解説します。
目 次
- BCPとは?
- BCPを怠るリスクと影響は?
- BCPの正しい策定手順
- まとめ
BCPとは?
BCPとは、Business Continuity Planの頭文字を取って作られた言葉です。
日本語では「事業継続計画」を意味します。
何らかの緊急事態が発生した場合、業務を停止せざるを得なくなるかもしれません。
その影響が大きければ大きいほど、損失も増大してしまうでしょう。
早期に復旧し、損害を最小限に食い止めるためには、事前の計画が必須です。
この計画こそがBCP、つまり事業継続計画なのです。
BCPが日本で注目されるきっかけになったのは、阪神淡路大震災です。
世界的に注目されたきっかけは、米国ワールドトレードセンターで発生した「9.11」大規模テロ事件でしょう。
どちらの事例においても、パニック状況の中、BCPによる早期の対応が賞賛されました。
このほかにも、BCPは以下のような緊急事態にも、その効果を発揮してくれます。
・自然災害(台風や水害など)
・システム障害
・新型感染症の発生
・人的脅威
様々な不測の事態によって、業務停止に追い込まれそうになったとき、それをいかに回避するか、もしくは業務停止による被害を最小限にとどめるのかを定めておくのがBCPです。
・停電時にどうやって電源を確保するのか?
・大地震によって本社が被災した場合、その後の業務をどうするのか?
・社員の多くが出社できなくなった場合、どう業務を行うのか?
このように、起こり得る事態を想定した上で、適切な対策計画を立てていきます。
もちろん「計画」だけでは不十分で、緊急時の被害を最小限にするためには、設備投資や人的投資も必要となります。
BCPを怠るリスクと影響は?
BCPの重要性が叫ばれていますが、実際にはまだ「策定できていない」という企業も少なくありません。
BCPを怠った場合、以下のようなリスクがあります。
・緊急時に適切な対応を取れない
・貴重な人材や設備を失う
・顧客離れによる事業縮小や廃業
万が一の際に、企業として適切な対応ができなければ、その影響は多岐にわたります。
最悪の場合、人命が失われたり、企業としての先行きが不透明になってしまったりすることもあるでしょう。
またBCPを策定していない企業に対する目社会からの目線も、非常にシビアになってきています。
ステークホルダーから信用・信頼されるため、また企業としての社会的責任を果たすためにも、BCP策定には重要な意味があります。
BCPの正しい策定手順
BCP策定のための正しい手順は以下のとおりです。
1.BCP策定の目標を明らかにする(守るべきものをはっきりさせる)
2.想定されるリスクを明らかにする
3.緊急時に優先すべき業務内容を明らかにする
4.リスクに優先順位をつけ、高いものから具体的な対策を検討する
5.緊急時に対応できるよう、具体的な体制づくりを行う
「緊急時のための計画」と言われても、その幅は非常に広いものとなります。
限られた人材・資金で、全てを完璧に網羅するのは難しいでしょう。
だからこそ、自社のBCPは何を目的にし、どんな場面に確実に対処できるようにしていくのか、事前にはっきりさせておくことが大切です。
目的がはっきりすれば、そのために優先される業務や必要な設備・人材についても、自ずと明らかになるでしょう。
発生リスクが高い事案に対して、できるだけ被害を少なくすることが理想です。
またBCPを策定する場合、理想と現状のギャップを明らかにする必要があります。
「大地震によってオフィスが被災した場合でも、重要なデータを守りたい」と考える企業は少なくないと企業が考えるのは当然のことでしょう。
しかしながら、クラウド化が進んでおらず、社内に設置したサーバーで全てのデータを管理している場合、危機的状況に即応することはとても困難です。)
理想の形を明らかにした上で、今何が足りていないのかを把握するステップも、BCP策定に欠かせません。
手順を意識しつつ、ひとつずつクリアしていきましょう。
まとめ
BCPは、企業を守るために必要不可欠なもので、先行き不透明な今だからこそ注目度が高まっています。
これまで想定していなかった危機が訪れる現代だからこそ、事前の準備は入念に整えておくべきです。
企業が保有するデータや、災害時にも素早く業務に復帰できる環境を整えるためには、デジタル技術を活用するのがおすすめです。
クラウドに保存されたデータは、オフィス以外の場所で厳重に管理されていますし、ペーパーレス化が進めば、オフィス以外でできる業務も増えていくでしょう。
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